ビジネスモデル 豆知識

【りらくる】儲かるビジネスモデル

2018年11月18日

街や幹線道路沿いでマッサージ店をよく目にしませんか?

実は、マッサージ店はコンビニよりも多いんです。

コンビニの5~6万店舗に比べ、マッサージ店は15万店舗以上あります。

その中でも、ここ数年で店舗数をのばしている「りらくる」(旧りらく)。

Ri.Ra.Kuとは別会社で名前がややこしかったですが、「りらくる」で差別化されましたね。

そんな、「りらくる」の儲かる仕組みを調べました。

目次

りらくるの勢い

りらくるは、2010年に設立されたまだ若い会社です。

1号店は会社設立より前の2009年に大阪府和泉市に誕生しています。

そこから…

  • 2012年に100店舗
  • 2012年に200店舗
  • 2013年に300店舗
  • 2015年に400店舗
  • 2016年に屋号を「りらく」→「りらくる」に変更
  • 2016年に500店舗
  • 2018年に600店舗

と、破竹の勢いで店舗数を伸ばしています。

特筆すべきは、創業の早い段階から新店舗を量産できているという点。

普通であれば、経営が波に乗ってからの新店舗と段階を踏むのですが、一気に大成功を収め、この成長スピードは尋常ではない事が、誰にでも分かると思います。

概要を見させてもらうと、600店舗以上あるのに対し、従業員はパートを含め257名。

ここに、りらくるのビジネスモデルの秘密が隠されています。

マッサージ業界の価格破壊を起こした

皆さんも「りらくる」の看板を目にしたことがあると思いますが、出だした当初は考えられない金額設定だったと思います。

今では、その金額が普通になっていますが心配な金額設定です。

60分コース=2980円

もはや、正気の沙汰ではありません。

これまでの、マッサージといえば60分6000円以上が普通でした。

それが、従来の半額以下。

「悪かろう安かろう」では、ここまで店舗数は伸びません。

この金額でどのようにやりくりをしていくのか、私自身も疑問に思っていました。

運営の仕組みは

概要の記載、600店舗以上あるのに対し、従業員はパートを含め257名。

ここに、りらくるのビジネスモデルの秘密が隠されているのが分かると先で言いましたが、どういうことかというと、セラピスト(マッサージ師)は個人事業主でりらくは業務委託(外注)をしているという事です。

つまり、りらく自体は店舗に社員を雇っていないという事です。

りらくのコスト削減と事業内容

「りらくる」の運営の肝が、コスト削減。

まず、運営していく中でコストの一番かかる部分は人件費。

この部分を、個人事業主にしてしまえば、「りらく」としては社員を雇うコストを削減できます。

現在600店舗以上ある店舗にセラピスト5名を社員登用すると、社員数は3000名となってしまします。

3000名の雇用となると、人件費で経営が圧迫されます。

しかし、個人事業主が実際のサービス・施術を行えば、コストを抑えることができ、「りらく」本体としては店舗管理をすれば良いだけですので、社員を少なく抑えることができますので、600店舗以上あるのに対し、従業員はパートを含め257名という事になるのです。

因みに、店舗には店長・受付・事務を置かずに運営されているので、セラピスト育成のスキームも確立されています。

この、人件費を抑える先進的なスタイルが圧倒的な安さを生み出す仕組みでもあります。

つまり、「りらく」の事業内容は「りらくる」で働く個人事業主への「リラクゼーションスペースの提供」が事業内容なのです。

セラピストの給料は?

「りらくる」で働くセラピストは、個人事業主。いわば、自営業と同じです。

ですので、フルコミッション(完全出来高制)となります。

多く施術すれば、それだけ収入が増えますし、施術しなければ収入はありません。

出来高報酬は、2017年からセラピストに報酬ランクアップ制度というものが導入されて、ランクによって報酬単価が変ってきます。ランクは6段階で以下

  • レギュラー
  • シルバー
  • ゴールド
  • プラチナ
  • ダイヤモンド
  • プレミアム

このランク制度で、よりセラピストの意欲を高め、サービス向上への仕掛けとしています。

報酬単価は、ランクによって1540円(60分)からスタートして、2500円(60分)まで上がるようですので、大きく収入が変ってきます。

収入の例を挙げると…

  • 1日8時間勤務で5人を施術した報酬額1540円のセラピスト  5人×1540円=7700円
  • 1日8時間勤務で7人を施術した報酬額1540円のセラピスト  7人×1540円=10780円
  • 1日8時間勤務で5人を施術した報酬額2500円のセラピスト  5人×2500円=12500円
  • 1日8時間勤務で7人を施術した報酬額2500円のセラピスト  7人×2500円=17500円

いかに、ランクが重要か分かると思います。

ランクの高い人ほど、効率的に一般的に比較しても良い収入を得ることができます。

ある話しで…

主婦の方が、この「りらくる」の制度で月に80万円の収入があり、主人の収入を上回ったそうです。それをしった主人も転職し「りらくる」のセラピストとして働きだしたという事もあったそうです。

それだけ、魅力がある仕事だと言えます。

性格にもよる職業ですが、稼ぎたい人にはうってつけの職場です。

メリット

  • 働いた分だけの収入
  • 自由に働ける(シフト制(固定・準固定・登録))
  • 好きな時に働ける
  • 主婦・副業にもできる
  • 勤務時間の制限がない
  • 上司部下の上下関係が無い
  • 指名料がもらえる(指名料自己設定)
  • 2980円で、客が非常に多い

デメリット

  • シフト制なので要望が通らない場合もある
  • 店舗によって客の量が違う
  • 施術がないと収入なし
  • 個人事業主なので、社会保障も自前(労災もなし)
  • 勤務時間の制限がない
  • 店舗に店長がいない管理の脆弱性

セラピストの教育

「りらくる」で働く8割は、未経験者といいます。

しっかりとした、研修制度があるからこそセラピストを早く現場に出す事が出来るのです。

育成センターが全国35か所に用意されており、専任のトレーナーによる研修で早ければ1週間で遅くとも1ヵ月で現場に送り出されます。

研修は、無料で実施され研修内容は技術と接客で、事務や雑務は各店舗で教育されます。

また、研修後には認定試験も受けることができ、「リラクゼーションセラピスト」の資格も取得できます。

セラピストの現場デビューの流れとしては

  • 求人
  • 面接
  • 合格
  • リラクゼーション基本研修(経験者は省略)
  • 足つぼ・ヘッドスパ・オイル等のオプション研修(経験者は省略)
  • 接客研修(経験者は省略)
  • 配属決定と店舗説明
  • セラピストデビュー

こうした、個人事業主の初期支援も「りらく」としての強みであるといえます。

因みに、「りらく」はこうした研修を経た、個人事業主(セラピスト)を12000人(開業届を提出)も輩出していますので、実績もすでに織り込み済み。

出店場所は?ITの活用で市街地にも活路

出店場所は、ITを用いた先進的な方法で選定しています。

店舗同士の距離を5Km以上離す事をベースとしていますが、需要があれば既存店に近接して出店もしています。

それも、IT導入でPOS(店頭)情報が充実しているから出来ることです。

また、このIT導入により、幹線道路沿いの駐車場付きで安い家賃を主としていた出店場所を、市街地・繁華街への出店判断も出来るようになっています。

さらには、IT導入で店舗管理も効率的になり、「りらく」の抱える管理者(社員数)も増やす必要がなくなり、負担も軽減します。

会社の利益は

個人事業主が頑張れば頑張る程、稼げるという事が分かりましたが、実際に会社利益はどれほどなのでしょう。

単純に考えて、個人事業主が60分施術の売上の半分以上を持っていき、高ランクなら最大2500円持っていくわけですから、会社はその差額480円だけの取り分となります。

少ないように思いますが…

売上高が、250億円ということですので半分以上ないし、2/3以上は12000人いる個人事業主の給料(業務委託料)と なる事を考えると、会社側は100億円前後で600店舗の家賃や設備を賄い、「りらく」社員の約250名の給料を支払う訳です。

余裕ですね!

実際に、2017年は約17億円の純利益があったそうな。

セラピストが増えれば増えるほど、稼働率が上がれば上がる程利益は膨らんでいくビジネスモデル。

単価は安くとも、今や12000人のセラピストがいれば、売上げも利益も莫大という事です。

まとめ

順風満帆にいっている「りらく」。

次の目標は、1000店舗の達成と明言しています。

課題は、セラピストの発掘と労働環境の良化だと感じます。

会社としては、機会損失を防ぎたいが、個人事業主(セラピスト)としては出勤中は無駄な時間は省きたい。客足の少ない時間帯はシフトを入れないという事もあると思います。

ITで時間ごとの客入りも計算されているとは思いますが、そのバランスが難しいでしょう。

需要は、土日では30%~40%もの機会損失(予約過多)があるようですので、まだ土日の繁忙期では人手不足も否めない状況です。

2980円ですので、りらくる各店は繁盛店が多いと思います。

これだけ、先進的で効率的なビジネスモデルでも、まだ改善の余地があるという事は、伸びしろはまだまだ計り知れないという事。

今後の、「りらく」の仕掛けにも注目していきたいと思います。

「りらくる」運営会社社長、出上幸典(いでうえゆきのり)さん(39)。11月14日午前に大阪の自宅高層マンションから転落死。

公式ページ:代表取締役社長の永眠に関するお知らせ

ご冥福をお祈り申し上げます。

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