レジャーホテルをご存知でしょうか?
平たく言えばラブホテルの事で、一見いかがわしいように感じる人も多いと思いますが、昨今の日本の現状を改善・経済効果の底上げを助ける業態として注目されています。
目次
ホテル不足の日本を救う
今現在、日本は宿泊施設不足が浮き彫りとなっています。
来る2020年のオリンピックや、2025年の大阪万博開催などで多くの訪日外国人が増加する事は誰の目から見ても明らかです。
しかしながら、都市部でのホテル稼働率は80%以上と、既にホテル不足に陥っています。
「外国人客が増えた」や「インバウンドが~」「過去最高訪日外国人客」と、よく耳にしますが、実はまだまだ潜在的には発掘可能で、ホテル不足により大きな機会損失となっているのです。
現在、外資系企業がこぞって日本にホテル・リゾート開発を行っているのも、日本のホテル業界は潜在的に伸びしろが有り余るから事が言えます。
そんな中、ラブホテルが注目されているのは、料金の変動が激しいホテル業界にあってラブホは均一。
なおかつ、都市部の繁華街に位置する事の多いラブホはアクセス面でも優れています。
ホテル不足という問題の、新たな受け皿としてもラブホテルは有用と言えます。
現在は、一般のホテルとカテゴリー分けされていますが、ラブホテルの中でもビジネスホテル化が進んでいます。
ラブホが外国人に検索される
外国人が日本へ来る前に調べておくべきことBEST3に「ラブホを検索」が入るようです。
1度行けば分かると思いますが、アメニティが豊富で備品も取り揃えられています。
突発的なニーズに対応する為のサービスに定評がありますが、万人に共通して嬉しいサービスです。
更に、言葉が分からない外国人でも客室のみで既に全てのサービスが凝縮・用意されているので要望を伝え聞く手間も最小限。
受付も客室を選ぶタッチパネル方式。スタッフに接する場面を省くことが、言葉が通じない外国人へのメリットにもなります。
また、客室ステイを主眼としている為、客室にカラオケが用意されていたり、フィットネスマシンが用意されている事もあり、大画面TVも多くのチャンネルが視聴できたりします。
ラグジュアリー・リゾート化
近年の傾向として、人気デザイナーが内装を手掛けるなど、ホテルの内装がよりラグジュアリーやリゾートのような客室作りになっています。
食事も1泊2食付きは珍しくありませんし、クオリティも上がってきているようです。
接客がないゆえに、上記のようにアメニティや備品、また客室自体に力を入れられる側面があります。
室内の充実と安価が、人気を更に強く後押ししています。
ホテル業・風営法
そもそも、通常の一般ホテルとの違いとは何かといいますと。
まず、全ての宿泊施設には旅館業法というものが適用されます。旅館はもちろん一般ホテルであってもラブホテルであってもカプセルホテルであってもです。料金を受領して宿泊させる業態全てです。(利益目的外は除く)
そこに、ラブホテルの場合は風営法も入ってきます。
一般ホテルとの線引きは、特定の設備を持つ施設は風営法の適用となります。
「専ら異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する政令で定める施設を設け、当該施設を当該宿泊・休憩に利用させる営業」
風営法第2条第6項第4号
旅館業法と共に風営法の適用となりますので、双方の届け出をしないと営業できないという事です。
線引きは、一般ホテルになくてラブホにあるものが線引き対象と思っていただくと分かりやすいかと思います。
しかしながら、国としては風営法があるものの、あまり芳しく思っていない御様子で、ラブホから通常のホテルに改装を促す動きとなっているようで、ラブホテルから一般ホテルに改装する際に、助成金が出されるという事です。
特殊な業態とはいえ繁華街に多く、場所が良いだけに国としても一般ホテルとしての受け皿が欲しいのでしょう。
そのままでも良いような気はしますが、治安面を配慮しての施策でしょうか。
経営の問題点
ラブホテルという言葉は、少しずつではあるが死語となりつつある。
今では、レジャーホテルという呼ばれ方が一般的になってきている。
呼ばれ方も重要で、シフトチェンジされたことにより淫靡なイメージから、オシャレな現代的なイメージへと改善されている印象もあります。
ここで少し、レジャーホテルの経営について触れます。
利益は?
レジャーホテルは、全国に3万件ほどあるようで、1日に200万人が利用しているといいます。
その業界全体の1日の売上は100億円以上と言われています。
では、1室あたりどれくらい儲けがあるか計算すると、5000円の客室では。
- 人件費 2000円
- 清掃・リネン・アメニティ 1000円
おおよその数字ですが、客室代金5000円-上記3000円=利益2000円
仮に、20室稼働であれば40000円の利益です。
更に、一般ホテルではない強みは回転率。1日1室に2組3組と重なることもザラにありますので、客室以上の稼働率。
つまり、1日の稼働率が100%を超えるビジネスモデルでもあるのです。
プラスで有料の備品販売もあります。ここの利益率はかなり高めで、収益の3割を占めるほどらしいので衝撃です。
つまり、利益率が高いだけではなく、今後の伸びしろもある非常に儲かる業界なのです。
大手がいないブルーオーシャン
この業界で、有名どころの大手企業をご存知ですか?
知っている企業でも、大手かどうかは?だと思います。
全国に2万店舗。毎日100億円以上売り上げ。これだけの市場規模を誇るにも拘わらず。
それもそのはずで、この業界は独占企業・寡占企業がないのです。シェア30%以上の企業がありません。
しかしながら、個人事業主は多くいることには違いありませんし、昨今の状況から競争が激しくなってくる業界かも知れません。
これまで、大手企業が手を出す事をタブーとしていただけに、今後は大手参入があるかもしれません。特に、勢いのあるベンチャー系なんかは。
それでも、儲かる業界であることは間違いありません。国としても後押し?の姿勢をとる業界です。
なにかの経営を始める人にとっては、リスクの少ないうってつけのフィールドかもしれません。