スポーツ ラグビー

日本ラグビー発展へ

2019年9月22日

日本ラグビーの協会運営・人気問題・競技環境などについて別記事で投稿しました。

日本ラグビー界はW杯を迎え発展するか衰退するかの重要な時期を迎えています。

そこで、これまでの日本ラグビーを振り返り他のスポーツがどの様に発展し運営されているかを考え、今後の日本ラグビー界が執るべき方針は何かを考え、発展に最適な提案をしたいと思います。

目次

日本ラグビーの経過

1970年代…NZを破るなど世界舞台でも日本の特徴を活かす

     →次世代の育成が成されず、単発的なものとなる

1980年代…日本ラグビー人気の最盛期

     →スポ根ドラマ等の影響により何もしなくても客が集まる、運営の散漫化

1990年代…世界的にプロ化が解禁、国内でも他のスポーツが台頭

     →プロ化により世界との差が広がる

2000年代…日本ラグビー暗黒期

     →人気・実力共に弱小、メディア露出の減少が拍車をかける

2010年代…指導体制の浸透?

     →2019年のW杯日本開催が決まり、意欲が高まる

1995年以前までのアマチュア主義というものは、世界的に大きな水準格差を防止していたように感じることが出来る、プロ化が解禁されて以降水準格差が進み日本もけして弱体化したわけではないが、それ以上に強国の水準が向上し取り残された形となりました。

Jリーグにおける運営方針との比較

ユースチームと部活動の共存

サッカー
  • 選手達の進路の選択肢を増やし、受け皿と相乗効果を
  • クラブに下部組織があることは、一貫教育が出来ることで効率的
ラグビー
  • 中学での受け皿の少なさや、高校では強豪チームへの一極集中、合同チームなど進路が少なく、トップチームまでのキャリアが限定的
  • 高校の部活動に選手育成を任せきっている

       

Jリーグ開幕以降も実直な運営とシビアな経営規則

  • サッカー→チェアマンが手腕を発揮し、常にリーグ全体の管理に努める
  • ラグビー→チェアマンのポストが置かれたのも最近で、若年層の強化に乗り出したのも最近である

各クラブチームにおいても強化方針や運営方針が様々

  例)セレッソ大阪…「育成型クラブ」

            資金力がないため育成し売り出す事を最大の目的としている

管理する統括組織の権限が強く、経営手腕を発揮できるコミッショナーの存在が不可欠

各スポーツのビジネスモデル

野球…シナジー追求型

球団経営自体は毎年20~50億円の赤字経営

赤字分の損失補填は、国税庁の通達により広告費扱いとされる

広告効果が絶大であり効果的な拡販ツールとなる

  中堅食品会社や成長企業にはプロ野球ブランドは魅力的

人気が低迷すればこのビジネスモデルではプロ組織解体もあり得るのではないか?

赤字経営が前提と言うことが既に健全ではない

サッカー…地域密着型

地元からの支持を得る事で地元TVの放映料やスポンサー広告を伸ばす

地域に根ざしたイベント交流を積極的に行い、提供価値の最大化

人の集まる都市部で弱いことがこのビジネスモデルの特徴である→地元愛を感じにくい

セレッソのような独自の経営スタイルを確立しているクラブが望ましい

→日本サッカー界の競技水準の向上のため

NFL…一元管理型

アメリカNo.1スポーツのNFL

チーム格差を取り払い常に均衡した試合を行う、リーグを一元管理することで可能となる

→スポーツの醍醐味・魅力である競り合いを演出することがNFLの理念

リーグ利益の分配や、選手獲得の金額制限などを主に各チームの均衡を維持

コミッショナーの強い権限と、卓越した経営力がこのビジネスモデルに必須

各チームの資産価値が高いNFLはスポーツビジネスで最も成功していると考える

トップリーグ…企業依存型

プロアマ混合であるが企業の社会人チーム

企業の支援を受け、社業が苦しくなれば活動費削減、または休廃部

2003年に社会人リーグをトップリーグと改変したが、地域性を打ち出すことはなかった

コストは企業持ちなので不況下にある現在、チーム強化に前向きになるだけの余裕がない

社業を行いつつの活動であることから、セカンドキャリアは他のスポーツよりは保証

各スポーツのビジネスモデルを考えると、子供に対するアプローチを明確に方針として打ち出しているスポーツの人気・収益が安定している、NFLにはアメリカ人のライフスタイルに合わせ家族が集まる時間帯に試合の放送時間を設定するなど運営にも様々な工夫が見られる。

W杯開催でのノルマ

世界3大スポーツ祭典と呼ばれ40億人に視聴される

史上最高収益を記録した2007年フランス大会では全48試合で225万人(4.7万人/試合)

莫大な経済効果をもたらす事で国内における現在のラグビー認知を改善

    →ラグビー業界が儲かる業界にシフトしなくてはならない

    →現在のトップリーグの仕組みを一新

開催前の期間がプロモーション活動に非常に重要である

    →TV放映、選手個人のメディア露出、学校教育で触れさせる

W杯で最も重要となってくることは、日本人のラグビーに対するイメージを一新させることである。世界でも人気が減少傾向であるとされているが、それでもW杯は3大スポーツ祭典に数えられる程のメジャースポーツである。たとえ、W杯が赤字になったとしても日本人の特に若年層での興味関心が高まり、スタジアムに足を運ぶ競技者・ファン層が増加すればW杯を開催する意味は大きいと考える。

日本ラグビーの今後の在り方

日本ラグビーの発展には育成スキームを作ることが必要である

→継続的に発展したものにするためには若年層の育成に注力しなければならない

→特に中高世代は地域間での格差が大きく底辺の拡大が妨げられている

 下部組織の充実、若年層の競技者確保、収益確保モデル

トップリーグにもプロ選手はいるが、給料が企業の持ち出しだけでは限界がある

   →独立した組織として収益を見込めるリーグ一元管理の運営が望ましい

    つまり、現在のプロアマの実業団チームを解体し、プロクラブへ移行

チームは地域密着で収入源を増やし、リーグの権限で一括運営される仕組み

 他のスポーツとの距離感も意識しなければならない、またクラブ毎に人気のばらつきや実力差、資金力に差があっては難しい

まとめ

今現在の日本ラグビーに必要な事は、知名度の向上である。スポーツ経営で最も重要なものが広告効果である事から、今のトップリーグでは経営が困難どころか他のスポーツに淘汰されるのも時間の問題ではないかと考えることが出来る。不安定な経済状況からどのスポーツも厳しい現状であることに間違いはないが、育成組織、収益モデル、良好なイメージと日本代表が強くなければ経済が安定したとしても発展を望むことは出来ない。

完全なプロ組織となっていないトップリーグはまだまだこれからの組織である。これを逆に利点と捉え国内外の既存するプロスポーツの良いところを盗み日本ラグビーの経営スタイルとしていくことが、今後の日本ラグビーの発展と継続的な繁栄へと繋がると考える。具体的に現実性の高い方法を選び提案したいと思います。

〈参考文献〉

澤野雅彦『企業スポーツの栄光と挫折』青弓社 2005年

日本ラグビー狂会『日本ラグビー世界への始動』双葉社 2009年

小林深緑朗『世界ラグビー基礎知識』ベースボールマガジン社 2003年

大友信彦『ザ・ワールドラグビー』新潮社 2003年

宿沢広朗 永田洋光『日本ラグビー復興計画』TBSブリタニカ 2002年

日本ラグビー狂会『日本ラグビー2019年への試練』双葉社 2011年

「日本ラグビーフットボール協会」http://www.rugby-japan.jp/ 2013/10/16

「横井章の魅力あるラグビー」http://rugbycreator.blog103.fc2.com/ 2013/10/16

「Sports navi」

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/rugby/all/2013/columndtl/201303060002-spnavi 2013/10/16

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