笑わない男、稲垣啓太選手のトライが世界中で称賛されています。
なぜ、スコットランド戦の稲垣選手のトライが称賛されているのか、解説していきます。
目次
ポジションはプロップ
稲垣選手のポジションはプロップと言うポジションです。
プロップという言葉は「支柱」と意味で、まさにチームを支えるポジションです。
BKのような華々しいプレーとは少し縁遠く、FW内でもチームの主役を支える、黒子役に徹するようなポジションでもあります。(そこにラグビー美学を感じるわけです)
背番号でいうと1番(ルースヘッドプロップ)と3番(タイトヘッドプロップ)にあたり、稲垣選手は、1番のルースヘッドプロップです。
とにかく、パワーの必要とするポジションで、チーム一の巨漢パワープレーヤーが選ばれるポジションでもあります。
日本代表チームでも、リザーバーとして途中出場しながらにひときわ目に留まる中島選手もこのプロップです。
かなりの巨漢ですね。
スクラムにおいても、相手と直接コンタクトがある先頭に立ち、ラインアウトでも味方を持ち上げる役割や、モールでは直接相手と押し合うサイドを固める等、いわば汚れ役といても良いポジション取りをします。
しかしながら、このプロップが弱いとセットプレーは成り立たないと言われるほど重要なポスト。
今回の日本代表のスクラムの安定や、セットプレーの強さはこのプロップのお陰と言っても過言ではないでしょう。
オフロードパスでの鮮やかなトライ
スコットランド戦で勝ち越しを挙げた稲垣選手のトライは、良い意味でプロップらしからぬトライでした。
BKと見間違えるくらいのパスワークで、3度のオフロードパスからのプロップのトライ。
世界も「サーカスのような技術」や「魔法のトライ」などと形容し、日本にしかできないプレーと称賛した程です。
FWと言うのは、今回のようなトライがあればだいたいNo8やフランカーなど、FWの中でもボールに触る機会が多いポジションであるのに対し、今回は15人中でも一番ボールに触れる機会が少ないといっていいプロップの選手がトライをあげたのです。
稲垣選手本人も、「7年間の日本代表で初めてのトライ」というほどにトライを挙げれる機会に恵まれないポジションなのです。
プロップがトライを挙げれないというのは語弊がありますが、トライをとっても、まず今回のような鮮やかなパスワークからのトライではなく、FW同士のゴリゴリの押し合いからの泥臭いトライがスタンダード。
それを、チーム一の巨漢パワープレーヤ―があの俊敏な動きでトライを上げたらだれもが驚きです。
トライ後の解説も、「稲垣選手はプロップですよ⁉」と私の気持ちを代弁するがごとく解説してくれました。
心の優しい力持ち
プロップと言うポジションの性質上、仲間を支える縁の下の力持ちというイメージから、「心の優しい力持ち」と表現されることもあります。
ラグビー精神である「ONE FOR ALL ALL FOR ONE」を体現したようなポジションでもあります。
稲垣選手も、今大会ですっかり「笑わない男」として定着し人気に火が付きましたが、試合後のインタビューを見ていて分かるように、勝ったことよりも台風19号の被害にあわれた方への心配・激励のコメント。
稲垣選手の優しさ、人の良さ、人格がにじみ出るようなインタビューだと感じました。
ラグビー選手は、そもそも頭の良い人が多いスポーツでもあります。
規律や礼節を重んじる紳士のスポーツとして発展してきた背景がありますから、大きくていかつい人が多いですが本当に人間性までも鍛えられて、いい男が多いです。
だからこそ、ラグビー選手のお嫁さんは美人が多いと話題になります。
こういった裏があるからこそ、ラグビー選手はモテるのです。