何かと情報番組の話題に上がるIR法案。
IR法案という言葉が出てきて、さらに国会で可決されてからかなり時間が経ちますが、IR法案について考えました。
目次
IR法案とは
IRとは、Intergrated Resortの略で統合型リゾートという意味です。
IR法案とは、正式にはIR整備推進法案と言うもので、平たく言えばこのIRを推進して外国人観光客を呼び込み地域経済活性化を狙う法案です。インバウンド効果を狙っての法案ですね。
その法案の中に、更に経済を活性化させる起爆剤としてカジノ解禁も折り込まれているのです。
メディアや新聞では、分かりやすくインパクトを与えるようにカジノ法案と呼ばれますので、そちらの方が聞き馴染みがあるかもしれません。
カジノ法案といわれるのでカジノのみだと思われがちですが、正式には統合型リゾートという事ですので、カジノを含む娯楽施設・飲食施設・商業施設・宿泊施設などを併設したエンターテインメント施設という事です。
海外を真似て日本にもカジノを作るという事です。
何故、こういった様々な施設が入るのにも関わらず、IR法案はカジノ法案と呼ばれるのかというと、これまで賭博は刑法185条・186条により禁止されており、カジノは賭博罪という違法でした。
これが、IR法案の可決によりカジノが解禁・合法化になることからカジノ法案という言葉が生れました。
IR法案可決までの経緯
日本にカジノの構想が出てきたのは、最近の事ではなく少し昔から話題にされてきました。
その、第一人者として当時の都知事である石原慎太郎。2003年にお台場カジノ構想がありましたがとん挫。
次に、当時の大阪市長橋本徹は、2009年に夢洲・咲洲地区まちづくり推進協議会において橋下氏は、再開発の一環として、カジノをキーワードとして提示し、後に強くカジノを含む統合型リゾート施設を、民間事業者の建設・運営主体によって構築するという目標を掲げました。
しかし、これらが直接的に今回のIR法案に繋がったのではなく、今回のIR法案の原型は2010年に民進党(当時民主党)が提案したものです。
当時は、そこまで大きな議論・話題にはならず膠着が続くのですが、時間を追うごとに国全体としても入用が出てきたため、その経済効果の魅力で議論・話題に上ることが多くなり、ついに2016年12月にIR法案は採決されました。
因みに、採決は自民党・公明党・維新の会の推進力によるものです。
2010年に民進党(当時民主党)が提案した時には、反対だったのに皮肉なものですね…
その後、2017年に具体的な建設や事業内容・制度設定、ギャンブル依存症の対策等の審議を経て、2018年4月に、カジノ・概要が与野党で初めて合意されました。
IRの候補地は
IRの候補地は当初、20か所以上があげられていましたが現在では絞られて8候補程です。
- 北海道…小樽や苫小牧、釧路市
- 千葉…幕張沖、人工浮島「メガフロート」
- 東京…台場・青海地区
- 神奈川…横浜市山下ふ頭
- 大阪…臨海部の人工島「夢洲」
- 宮崎…リゾート施設「シーガイア」周辺
- 長崎…ハウステンボス周辺
- 沖縄…名護市
となっていますが、中でも大阪と神奈川が筆頭候補な雰囲気を漂わせています。
「申請を予定」と回答=大阪府市、和歌山県、長崎県
「申請を検討中」と回答=北海道、千葉市、東京都、横浜市
「申請は未定」と回答=名古屋市
「申請しない」と回答=沖縄県引用元:カジノIRジャパン
実際に候補地が確定していくのは2020年~2022年くらいだと見込まれており、カジノ完成は2025年頃だと推測されています。
当初は、東京五輪を完成目標としていましたが遅れている現状です。
今のところ、大阪が誘致に力を入れている事や、IRの開発決定されれば、鉄道各社も路線の延伸を表明しています。2025年の大阪万博開催への誘致も成功すれば決定的ではないでしょうか。
大阪にIR開発が決まれば
橋下市長の時から、大阪ではカジノ誘致へ動きが活発でした。
それは、現在の松井一郎府知事、吉村洋文大阪市長になっても推進活動がされています。
もしIRの開発が決定すれば、大阪の負の遺産問題を解消できます。夢洲がまさに負の遺産です。
その問題を解消するためのだけではなく、地域経済の活性化にカジノはうってつけなのです。
そもそも、なぜ夢洲が負の遺産かというと、2008年の五輪誘致の失敗です。2008年の五輪誘致に用意した人工島の活用法が決まらないままここまで来ました。
オリンピックが開催された跡地ですら、負の遺産とされるのに、開催もされないまま負の遺産となっているのでは話になりませんね。
しかし、今ではその土地こそがIR誘致の強みでもあるので、まさに怪我の功名です。
大阪で万博の開催も決定すれば、インバウンド効果も絶大でしょう。
日本総合研究所によると、2025年のIRと大阪万博の経済効果は2兆6000億円で、万博以降も1兆1000億円越えが続くとされています。
これも、万博までにIRが決定・完成を前提としていますが、これを逃すわけにはいかないですね。
万博の主な建設費用などは以下
2025年国際博覧会(万博)の会場建設費
・自治体負担分について、府市で折半する方針を確認
・会場建設費は約1200~1300億円。国、自治体、経済界で三等分負担を想定
・府、市の負担はそれぞれ200億円ほどに夢洲への市営地下鉄中央線の延伸関連事業費
・中央線の延伸、橋の拡張工事など合計は約700億円
・吉村洋文・市長
-橋下徹・前市長と同様の考え
-「IR事業者にその大半を負担させるべき」
-「利益を得る人に担ってもらわないといけない」引用元:カジノIRジャパン
IRの展望は?メリット・デメリット
日本でも、IR開発が進みカジノが誕生することが決まりましたが、まだまだ議論の段階。
今後、どのように進んで行くかは、海外のモデルをまず参考にしてくと考えられます。
カジノが出来ると、新たに法整備も必要なのかなとも思いますが、完成以後の動向によっては複数のIRが誕生するのかもしれません。
メリット
IR法案が、国会でこれだけ推される事になった背景には、国としての経済力を高めるという理由があり、それに付随して雇用の拡大を助け、更には、安倍内閣が掲げる地方創生・地方活性化につながるという面もあります。
- 財政改善や地域社会の活性化などの大きな経済効果
- 外国人観光客の増加に伴うインバウンド
- 雇用拡大
- 東京以外の大きな経済力が作れる
- オリンピックや万博などの際の相乗効果
主な目的としては、財源の確保・地域創生・観光客の増加の3つが大きく上げられますが、それに伴い雇用の拡大や、ヒト・モノ・カネが東京に一極集中する事を避け、第2都市として日本全体のリスク分散にも寄与します。
デメリット
カジノがこれまでに出来なかった事は、これまで、賭博が頑なに禁じられていた悪印象のデメリットが大きかったという理由でもあります。
- 治安の悪化への懸念
- マネーロンダリング
- ギャンブル依存症増加の助長
反対意見には、このカジノを元に犯罪が起きた場合は国も同罪という意見があるようで、犯罪の温床になってしまうのでないかという点が、大きな懸念材料となっています。
まとめ
カジノが日本に出来る事は、賛否両論あって当然のことです。
良い面もあれば、悪い面もあります。
良い面だけなら、既にできている訳ですし。
今回は、賭博法のというものがありながらに、IR法案がカジノを解禁にしたことで大きな話題と議論を呼んでいますが、今起きている事は誰も評価することはできません。
人は常に事後の事、数年たってからの事しか正しい評価はできませんので、今後の動向も非常に見ものです。