先日の2019ワールドカップの準々決勝アイルランド戦では、オールブラックスの強さをまざまざと見せつけられました。
アイルランドはワールドカップ開始時点では世界ランク1位の国で、決して弱い国ではないのですが46対14と力の差を感じる程のゲーム展開となりました。
目次
教科書通りのプレー
オールブラックスはラグビーの競技水準がそもそも突き抜けた国です。
ですが、とんでもなく凄いスーパープレーをするわけでもなく当たり前のことを当たり前にこなせるチームです。
ですが、その当たり前がラグビーにおいては難しくもあるのです。
身体をぶつけ合うスポーツですから、負傷や疲労・興奮の中プレーしますので、冷静さを欠くことがプロでも大いにあります。ですが、オールブラックスの選出は常に冷静にゲーム展開を把握し、やらなければならない事を一人一人が理解しています。
当たり前のことを当たり前にこなすと先に言いましたが、1人1人が高水準のプレーを当たり前にするからこそオールブラックスは強いのです。
倒れている選手が少ない
先日のアイルランド戦を見ていて気づいたことがあります。
それは、オールブラックスの選手は倒れている時間がゲームを通じて短いという事です。
他のチームと比較して、ほんの僅かの差かもしれませんが、これがオールブラックスの強さの所以かもしれません。
少しでも起き上がるのが早ければ、プレーに復帰する時間は早くなりますし、相手チームよりも早く立ち上がれば、瞬間的に数的優位な時間が出来ます。
オールブラックスはラインを作るのが早く、相手チームも追いつけない場面があり、そうした積み重ねで、ゲインを重ねていきます。
ディフェンスにおいても同じことで、起き上がるのが早ければ相手オフェンスよりもディフェンスの枚数が多いので突破される可能性は低くなります。
一見簡単そうな事ですが、これがなかなか出来ないのがラグビーでもあります。
選手間の戦略共有
試合観戦をしていても、オールブラックスの動きは統制されています。
通常のオフェンス、ディフェンスのシーンでは流石の水準の高さを見せつけてくれますが、アンストラクチャーの場面では、解説も驚くようなプレーをしてもオールブラックスの選手はそれに呼応します。
例えば、相手ボールペナルティキックで外にけり出すシーンでも、ラインぎりぎりでインフィールドにボールを弾き返してマイボールにしてしまいます。
こんなプレーはオールブラックス以外ではあまり見ませんが、近くの選手はしっかりサポートに入り、優位な状況に持ち込み、自陣深くまでボールが来ていたと思えば、相手陣まで押し戻したりしています。
陣取りゲームと言う所においても、深い理解共有がなされないと出来ない事をいとも簡単にできてしまう事は、幼いころからラグビーに慣れ親しんだからこそではないでしょうか。
ゲームを支配する
相手チームも、世界最強のオールブラックスだという事で意気込みも違うでしょうが、オールブラックスも世界最強という誇りがあります。
まず、メンタリティーに大いにかかわるラグビーですから、自分たちが最強であるという自負は良い作用を起こしてくれます。
そして、1人1人が高水準のプレーヤで技術も卓越していますから、自然とオールブラックスペースになってくるのです。
試合の序盤・中盤・終盤においても運動量の低下はあっても集中力や技術の低下はありません。
他のチームは、終盤になるとミスやペナルティを犯しそうなものですが、最後までオールブラックスはオールブラックスなのです。
ここの差が出てくると、序盤は粘れても終盤でオールブラックスの強さを実感します。
相手の攻撃を単調にする
オールブラックスのディフェンスは組織的で、相手に独走を許さない限りは数的優位を作られがちです。
そうなると、相手オフェンスは攻めているはずが逆に押し戻されてしまいます。
チーム格差が大きい、日本の高校ラグビーでもよく同じ現象を目にしますが、オフェンスの上がりよりもディフェンス上がりの方が早く、最初のポイントよりも自陣に押し返されるあれです。
そうなると、相手は自陣迄押し戻されるわけですから、ボールキープは出来て言えても最終的にはキックしか選択肢がないのです。
そうなるとたちまちオールブラックスボールとなり、カウンターやあらゆるオプションで攻められるという展開しかないのです。
オールブラックスは、オフェンスだけが攻めではなく、ディフェンスさえも攻めなのです。